興行ビザとは

興行ビザとは、芸能関係者やスポーツ選手、オーケストラなどの音楽家、歌劇団、カメラマン、ファッション関係者など、芸能にたずさわる外国人が、日本に滞在して、興行活動や興行以外の形態で行われる芸能活動にたずさわる場合に求められるビザです。
興行とは、お芝居やコンサート、スポーツ競技において、鑑賞や観戦のために観客を集めることを目的としたイベントのことをいいます。興行ビザは、出演者やスポーツ選手のみならず、彼らを支援する役割を担う人、たとえば、演出家やスポーツトレーナーなどにも求められるビザになりますので注意が必要です。
世界的なグローバル化の潮流をうけ、外国文化の相互的な交流を進める必要が生じている昨今、興行ビザの要件緩和が促進されているのが現状です。

興行ビザの許可基準

基準1号イ
基準1号イの許可要件のもとでは、外国人が興行をするにあたって、風営法2条1項1号~3号の営業を行わない施設であることが必要です。つまり、興行が社交飲食店(キャバレーなど)や低照度飲食店・区画席飲食店で行われる場合は、基準1号イのもとでは許可がおりません。(これらの飲食店の場合は基準1号ハの厳格な許可要件のもと興行ビザが認められるかどうかを検討することになります)
基準1号イの許可要件のもとでは、契約機関について以下のような要件があります。
外国人が興行に関する契約を締結した契約機関の経営者(もしくは管理者)には、興行に関する業務を通算3年以上経験していることが求められます。また経営者はもちろん、常勤の職員についても、人身取引に関与したことがないことなど一定の廉潔性が必要になります。廉潔性については、過去3年間の興行ビザの履歴についても求められ、契約機関として支払義務を負う報酬について全額支払っていることが必要になります。
以上のほかにも、興行に関する業務を適正に遂行する能力を契約機関が有しているか否かが判断されます。この判断を有利にするために、契約機関の登記事項証明書や決算書、契約機関の概要がわかる資料のほか、申請者の滞在予定表や公演日程表、公演内容がわかる広告やチラシを提出することが必要になります。
また、基準1号イの許可要件のもと、はじめて興行ビザの取得をする契約機関については、申請者の経歴書、興行を実施する施設の概要がわかるものとして営業許可証の写しや施設の写真・図面、申請者が行う興行を明らかにする興行に関する契約書、申請者の具体的な活動内容や期間、報酬を明らかにする雇用契約書や出演承諾書などの提出を求められます。
基準1号ロ
基準1号ロの許可要件のもとでは、招へい機関の公共性や興行を行う施設の規模、興行により得られる報酬の規模に着目して、より興行ビザの要件緩和を図り、外国文化との積極的な交流を図る対応をしています。
招へい機関の公共性に着目したものとしては、国や地方公共団体が主催する場合や学校教育法に規定する学校等において行われる興行、国や地方公共団体などの資金援助を受けて設立された機関が主催する場合があげられます。施設の規模に着目したものとしては、外国を題材にしたテーマパークで敷地面積10万㎡以上の施設で行われる興行(たとえば、東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンでの興行)や客席部分の収容人員が100人以上又は非営利の施設で行われる興行で、客席における飲食物の有償提供がなく客の接待を行わない場合(代々木公園などで行われている野外イベントやコンサート会場など)があげられます。また、報酬の規模に着目したものとして、1日の報酬が50万円以上で30日を超えない期間の滞在について興行ビザを認めるものもあります。
基準1号ハ
基準1号イおよび基準1号ロに該当しない場合に、厳格な要件を課したうえで、興行ビザを認めているのが基準1号ハの許可要件です。
申請者の属性、契約機関や施設の運営機関の規模、施設自体の規模、施設の属性、報酬規模などにより、許可要件がさまざまですので、詳細はお問合せください。
基準2号
外国人スポーツ選手や監督、コーチ、トレーナーなどが基準2号に該当します。許可要件は、興行により得られる報酬が、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であることです。現在、日本のプロ野球12球団の1軍・2軍選手、地区独立リーグの野球選手、J1・J2所属のサッカー選手、大相撲の力士、プロゴルファー、プロボクシング選手やプロレス選手などが基準2号の興行ビザの対象になっています。ほかにも、サーカス団の活動や興行として行われるダンスコンテストに参加するダンサーの活動なども基準2号の興行ビザの対象になります。
基準3号
基準3号は、①商品や事業の宣伝、②放送番組や映画の製作、③商業用写真の撮影、④商業用の記録媒体への録音・録画のいずれかを、外国人が日本に滞在して実施するにあたって求められるビザです。基準2号と同様、許可要件は、興行により得られる報酬が、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であることです。

行政書士の役割

興行ビザの許可要件は複雑で、提出資料も多いことが特徴です。実際にいかなる興行活動をどこで、どんな人が、どのような契約のもと実施するかということを丁寧に説明していくことがポイントになります。必要な資料を必要な時期に準備したうえで、スケジュールにそった申請をすることが行政書士の役割になります。
興行ビザの申請でお困りの方はお気軽にお問合せください。