建設業者が500万円以上の建設工事を請け負うためには、29種類ある建設業の種類ごとに、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受ける必要があります。建設業許可をもたずに、500万円以上の建設工事を請け負うことは建設業法上認められていません。これが、一般建設業許可です。
許可要件は
①建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること(令和2年10月改正)
②営業所ごとに専任技術者が常勤でいること
③請負契約に関して誠実性があること
④財産的基礎があること
⑤欠格事由に該当しないこと
⑥適切な社会保険に加入していること(令和2年10月改正)
の6つです。

経営業務の管理責任者

従来の経営業務の管理責任者要件は、法改正により変更されました。
新しい制度のもとでは
A・建設業の経営を5年以上経験していることという、従来の要件のほかに
B・建設業の経営を2年以上経験し、建設業の経営又は管理職を通算で5年以上経験している
C・会社経営を5年以上経験し、そのうち建設業の経営を2年以上経験している
場合においても、経営業務の管理責任者要件をクリアできるように改められました。
もっとも、BやCの場合は、財務管理、労務管理、運営業務の業務経験を5年以上経験したことがある者を、常勤役員を補佐する役割に就かせる必要があります。

専任技術者

工事に関して特定の国家資格を有している者がいる場合は、資格者証を提出することと常勤性を証明することにより、専任技術者となることができます。特定の国家資格を有していない場合は、10年の実務経験が求められます。実務経験は、大卒あるいは高卒・専門卒といった学歴とそれぞれの学校における履修科目に応じて、求められる年数が3年あるいは5年といったように短縮されます。

財産的基礎

財産的基礎については、500万円以上の自己資本または資金調達能力があることが求められ、申請時から1か月以内の残高証明書の提出もしくは資本金が500万円以上あることを示す会社の登記事項証明書を提出することで証明します。

社会保険への加入

建設業における「働き方」改革の推進として、令和2年10月以降は、適切な社会保険への加入が許可要件の一つとなりました。

特定建設業とは

建設業者が元請として、請負金額4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)となる下請契約を結んで、工事を施工する場合は一般建設業許可とは異なる許可が必要です。これが特定建設業許可です。
許可要件は、基本的には、一般建設業許可と変わりありませんが、専任技術者と財産的基礎の要件について、より厳格な規制がされています。
専任技術者は、国家資格者であることが求められ、国家資格を保有していない場合は元請金額4,500万円以上の工事に関して2年以上の指導監督的な実務経験が求められます。
財産的基礎については、欠損額が資本金の額の20%を越えていないこと、流動比率が75%以上であること、資本金が2,000万円以上で自己資本の額が4,000万円以上であることが求められます。
特定建設業許可を取得することにより、より規模が大きな工事を受注することが可能になります。

新規許可のメリット

事業規模の拡大に伴い、500万円以上の建設工事を請け負うことが予想される建設業者の方は、コンプライアンスという経営課題に取り組む上でも建設業許可を受ける必要があります。建設業許可のない事業者が、500万円以上の建設工事を請け負うことは、無許可営業に該当し、建設業法違反として行政指導や刑事罰の対象になります。
許可業者でなければ下請業者として参入できない最近の工事現場の現実を考えたとき、受注予定の建設工事の請負金額に関わらず建設業許可を取得しておくことが、建設業者の経営の安定化につながります。契約の相手方も、事業者を選ぶうえで、請負金額や工期、仕上がりの程度以外にも、施工が社会的信用性のある許可業者であることを望んでいることはいうまでもありません。
東京都では、3か月に1件の建設工事を請け負っていたことが実務経験の証明として求められますが、事業者の立場からすれば、仕事としてある程度の規模の建設工事を請け負うことができるようになった段階で、早めに建設業許可を取得しておくことが、現在の社会が求めるコンプライアンスの考え方に添うものと考えられます。

許可までのプロセス

建設業の新規許可申請の際は、

1.許可要件の確認

お客様のケースが許可要件を充足するかどうかを確認します。

2.確認資料の準備

要件の証明ができる書類を準備します。契約書、注文書、工事請書以外にも、請求書と入金を確認できる資料により実績を証明することができます。東京都では、以前は、毎月建設工事に従事していたことが実績として求められていましたが、3か月に1件の割合の工事請負により実績として認めらるようになりました。

3.申請書の準備

申請書への記入事項についてヒアリングを行います。

4.行政との事前相談

ケースに応じて、適宜、行政庁への相談などを通じて、建設業の許可が受けられるように活動します。

許可換え新規とは

建設業許可を取得しようとしている地方自治体以外の自治体ですでに建設業許可を取得している事業者は、通常の新規許可とは異なる枠組みで審査を受けることができます。これが、許可換え新規と呼ばれる申請です。
建設業許可を取得した地方自治体ですでに審査を受けていることから、このような申請手続きが認められています。行政手続きを簡素化することを通じて、手続き負担の軽減を図るとともに、行政手続きの公正さを確保するものと理解できます。通常、新規の許可申請で求められる経営業務の管理責任者や専任技術者の実務経験の審査についても、重複した審査がされずに、以前の自治体の判断が尊重され確認資料の簡素化がされます。
もっとも、財務諸表をはじめとして、その他の資料については通常の新規申請と同様の資料提出が求められますので、一定範囲で手続き負担が生じることは否定できません。
本店所在地を移転して、建設業を営む予定のある許可業者の方は、移転後なるべく早い段階で許可換え新規申請をする必要があることに注意が必要です。

般・特新規とは

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