旅行業とは

業務の範囲により、第1種、第2種、第3種の3種類の旅行業が定められています。
第1種は、募集型企画旅行(旅行業者があらかじめ旅行計画を作成し旅行者を募集する旅行)、受注型企画旅行(旅行業者が旅行者からの依頼により旅行計画を作成する旅行)、手配旅行(旅行業者が旅行者からの依頼により宿泊施設や乗車券等のサービスを手配する旅行)の3種類の旅行業務のすべてについて、国内外地域を問わず業務として取り扱うことができる旅行業者です。
第1種旅行業者と第2種、第3種との違いは、募集型企画旅行を企画できる旅行先にあります。第1種の場合は、国内外地域を問わず募集型の企画旅行を業務にし、第2種の場合は、国内に特化した募集型企画旅行を、第3種では、隣接市町村という限られた地域に特化した募集型企画旅行を業務にしています。受注型企画旅行と手配旅行については、第1種~第3種のすべての旅行業者で、国内外地域を問わず、業務として取り扱い可能です。
募集型企画旅行のターゲットの定め方に応じて、お客様のニーズに応え、さまざまな工夫を施し、旅行業としての事業の幅を広げ展開していくことが、旅行業者の最大の魅力です。
旅行業の登録にあたって問題となるのは資金関係です。
旅行者の保護を図るために、旅行業者には営業保証金の拠出が求められます。営業保証金は、第1種7,000万円、第2種1,100万円、第3種300万円と高額ですが、日本旅行業協会又は全国旅行業協会への加入により、負担を軽減させる制度があります。
協会への加入により、旅行業者の負担が1/5に軽減され、第1種1,400万円、第2種220万円、第3種60万円の費用負担での旅行業登録が可能です。
財産的な基礎も重視されており、第1種3,000万円、第2種700万円、第3種300万円の基準資産に関する要件をクリアする必要もあります。

旅行業者代理業

旅行業登録は、登録要件が厳格であることから、旅行業者から旅行業務の委託を受けて事業を営む、旅行業者代理業という事業が認められています。
旅行業者代理業は、旅行業者から委託を受けた範囲で旅行業務を実施する旅行業者です。自らが旅行業者として登録を受ける必要がありません。そのため、旅行業者にとって高いハードルとなる営業保証金や基準資産などの資金関係の要件はありません。もっとも、旅行業務取扱管理者(5年ごとの定期研修が必須)の選任は必要になりますので、旅行業に精通した人材の確保は不可欠です。

旅行サービス手配業

旅行業務を提供する旅行業者のために、旅行サービスの提供をするのが旅行サービス手配業です。
地域の実情に精通した事業者は、旅行者が求める「モノやコト」を地域への密着度を高めた形で実現することを可能にし、旅行者の満足度を高めるとともに、旅行業者の負担を減らすことに貢献します。このような役割を果たすことができるのが、旅行サービス手配業です。
たとえば、バスや鉄道などの交通手段の手配、旅館やホテルなどの宿泊の手配、消費税免税店における物品販売の手配などを行うのが旅行サービス手配業です。
旅行業法により、登録制度が設けられ、営業所ごとに旅行サービス手配業務取扱管理者(5年ごとの定期研修が必須)の選任が必要です。また契約締結時に書面交付が求められるなど一定の義務も発生します。
平成30年1月4日から開始された登録制度で、ランドオペレーターともいわれ、令和元年5月1日現在、全国で1,102件の登録がされています。インバウンド需要の増加に対応する新しい制度としても注目されています。

行政書士の役割

観光立国を目指すわが国の経済政策を持続的に展開するためには、インバウンドのニーズを的確に把握し、旅行先での貴重な時間を、地域性をもたせながら、満足度を高める密度の濃い時間にすることが不可欠です。地域に根差すことに慣れている地域密着型の法律家である行政書士は、このような要請に応えることができます。
許認可の視点から、事業としての旅行業を検討してみると、何に重点を置くかによって、仕組みづくりや収益性の点で大きな違いが生じると考えられます。許認可を専門にする法律家である行政書士は、今後の事業展開に有益なアドバイスをさせていただくことも可能です。