人手不足の深刻化に備え、即戦力となる外国人を受け入れる仕組みとして新しく導入されたビザが、特定技能ビザです。特定技能ビザが導入されたことにより、人材を確保することが困難な状況にある14の特定産業分野について、一定の技能水準と日本語能力を有する外国人が働くことができるようになり外国人の活躍の場が広がりました。

許可要件をめぐって

特定技能ビザをめぐっては、①雇用主に関する基準、②契約内容に関する基準、③支援計画に関する基準、④申請者本人に関する基準、⑤特定産業分野に関する基準といった基準をクリアする必要があります。働き手となる外国人が、日本の職場で働きやすい環境を整備するための仕組みづくりが求められる点に特定技能ビザの特徴があります。
(雇用主に関する基準)
特定技能ビザの枠組みにおいては、働き手となる外国人は、雇用主と特定技能雇用契約を締結します。外国人の職場環境を保護する観点から、特定技能ビザで滞在する外国人に対しては特別な配慮をする必要があるため、雇用主自体に一定の基準が設定されています。
雇用主は、緩和要件はあるものの、過去2年間に中長期在留者の受入れや管理の実績(少なくとも1名以上)があること、役員・職員の中から支援責任者を選任し、外国人が活動する予定の事業所ごとに支援担当者を設置することが必要になります。
支援計画を適正に実施するにあたって、そのほかにも、外国人が十分に理解できる言語による情報提供や相談体制の整備、支援状況に関する文書作成、定期的な面談の実施といったことが雇用主に求められます。
もっとも、登録支援機関に支援計画の全部を委託する場合においては、受入れ実績のほか、支援状況に関する文書作成などの雇用主に関する基準もすべて充足するものと扱われることになります。特定技能ビザで外国人雇用を検討している方にとって、登録支援機関の存在は、外国人雇用を促進するうえで大きな役割を果たすものとなります。
(契約内容に関する基準)
働き手となる外国人が雇用主と締結する特定技能雇用契約は、労働基準法にしたがった契約内容であることが求められるとともに、特定技能ビザで滞在する外国人が働きやすい職場環境で労働が可能となるように一定の基準が設定されています。
従事させる業務、一時帰国のための有給休暇、健康状況・生活状況を把握するための対応などへの配慮が求められるとともに、雇用主は、労働・社会保険・租税に関する法令の遵守、非自発的離職者や外国人の行方不明者を発生させていないことが必要になります。
(支援計画に関する基準)
特定技能ビザを取得予定の外国人と特定技能雇用契約を締結しようとする雇用主は、特定技能ビザで滞在する外国人に対してさまざまな支援をする必要があり、支援内容を明らかにした支援計画を定め入管に提出する必要があります。特定技能ビザで滞在する外国人が安定的かつ円滑に活動を行うことができるようにするために、職業、日常生活、社会生活といった生活上の支援に関して支援計画が作成されなければなりません。
具体的には、①事前ガイダンス、②出入国時の送迎、③住居の確保、④銀行、携帯電話、公共料金に関する支援、⑤生活オリエンテーション、⑥日本語学習の機会提供、⑦相談・苦情への対応、⑧日本人との交流促進、⑨非自発的離職時の転職支援、⑩定期的な面談を支援計画に定める必要があります。これらの支援は外国人が十分に理解できる言語で提供する必要があります。
支援計画は、登録支援機関にすべてを委託することが可能な仕組みになっており、自社展開が困難な場合には、登録支援機関の活用を検討することも必要です。
(申請者本人に関する基準)
特定技能ビザには1号と2号があり、産業分野ごとで若干の違いはあるものの基本的には、1号は①技能実習2号の良好修了者であること、もしくは②1号技能試験に合格し、日本語能力試験N4以上であることが求められ、2号は2号技能試験に合格し、日本語能力試験N3以上であることが求められます。
(特定産業分野に関する基準)
特定技能ビザは人手不足の深刻化に備え外国人材を活用できる仕組みづくりのために導入されたビザです。そのため、一定の産業に限定して就労が認められます。現在、①介護、②ビルクリーニング、③素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、⑥建設、⑦造船・舶用工業、⑧自動車整備、⑨航空、⑩宿泊、⑪農業、⑫漁業、⑬飲食料品製造業、⑭外食業の14の業種について、特定産業分野として特定技能ビザの外国人の受入れが認められています。

行政書士の役割

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