行政不服審査とは何か

行政庁による処分や行政庁による不作為に対して、その違法性や不当性を争うことができる審査請求が、行政不服審査(行政不服審査法1条)です。裁判で争う場合よりも簡易迅速な救済手続きであること、裁判と異なり処分の違法性のみならず、その不当性をも審査対象とできるところに特徴があります。

審査請求の流れ

1、事前調査
行政不服審査をするにあたっては、手続き上いくつかの課題があります。そのため、事前調査として手続き上の課題をクリアして行政不服審査をすることができるかどうかを確認する必要があります。不服審査の対象となる行政庁の行為がいかなる行為なのか、その行為に違法性や不当性があるか、その他行政不服審査が認められる周辺事情があるかについてあらかじめ調査をすることになります。
2、審査請求書の作成(行政不服審査法19条)
審査請求書には、①審査請求人の氏名・名称及び住所・居所、②審査請求の対象となっている処分内容、③審査請求の対象となる処分があったことを知った年月日、④審査請求の趣旨及び理由、⑤処分庁の教示の有無及びその内容、⑥審査請求の年月日を記載する必要があります。
不作為についての審査請求書には、①審査請求人の氏名・名称及び住所・居所、②不作為となっている処分に関する申請内容及び年月日、③審査請求の年月日を記載する必要があります。
3、審理員による審理手続
4、行政不服審査会等への諮問
5、裁決

行政不服審査をするうえで課題となること

1、不服審査の対象
行政不服審査は、「その行為により、直接国民の権利義務を形成したり、またはその範囲を確定することが法律上認められるもの」(いわゆる処分性の要件)にその対象が限定されており、処分性の要件を欠くケースでは不服審査が認められないことに注意が必要です。
2、不服申立適格
行政庁による処分が問題となっている場合は、処分に「不服がある者」(行政不服審査法2条)、行政庁による不作為が問題となっている場合は、「処分についての申請をした者」(行政不服審査法3条)が、不服申立てをすることができます。
行政庁による処分が問題となる場合における「処分に不服がある者」は、法律上保護された利益を有する者である必要があり、ここでいう利益は、法律が個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課すことにより保障されている利益に限定されていることに注意が必要です。
また、行政庁による不作為が問題となっている場合は、申請から相当期間が経過していることが求められます。相当期間の経過は、標準処理期間の経過が一つの目安になると考えられます。
3、不服申立期間
申立期間についても、行政不服審査法に定めがあり、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過すると審査請求することができなくなります(行政審査法18条1項)。また、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときも審査請求することができなくなります(行政不服審査法18条2項)。
このことを踏まえると、行政庁による処分や不作為に不服がある場合は、早い段階で法律家への相談を通じて、不服申立の検討をすることが大切になると考えられます。
もっとも、申立期間が迫っていても、審査請求書を提出していれば、提出後に追加資料を提出をするという対応も可能ですので、申立期間が迫っていたとしても、法律家への相談を通じて権利・利益の救済を図ることのできる体制をつくることが大切です。

行政書士の役割

従来、行政書士による不服審査は、「行政書士が作成した書類」に関してのみ認められていました。令和8年1月1日からは、対象範囲が拡大し「行政書士が作成できる書類」について行政書士による不服審査が認められるようになりました。対象範囲の拡大により、行政書士が申請書類の作成に関与していない場合においても、不服審査ができるようになり、より一層国民の権利・利益の実現に資することができるようになります。
行政書士はもともと、事業者が事業を発展させていくために取得する許認可に関する手続きを代理することに社会的意義のある法律家です。すでに許認可を取得している事業者が、営業停止命令や許認可の取消しを行政機関から求められている場合において、行政不服審査をすることは、事業継続を考える事業者の立場からは当然の対応であり、持続可能な社会にとっても重要な行動であると理解できます。
許認可手続きに長けている法律家である行政書士が、許認可の取得からその維持・管理の一側面ともなる行政不服審査をワンストップで対応できるようになり、さらに一層、国民の権利・利益の実現に役立つ役割を担えるようになったことは行政書士の職域拡大の第一歩とも考えられます。
許認可をめぐる行政不服審査をご検討の方は、許認可の取得に長けている行政書士にご相談ください。