行政指導の中止等の求めとは
行政機関が行政側の意向に協力してもらうために実施する個人や事業者への働きかけが行政指導です。働きかけは、あることをするように、あるいは、あることをしないように、指導・勧告・助言といった形式で実施されるところに特徴があります。行政指導は、法律に基づかない事実上のものから、法律の仕組みのなかで実施されるものまで多種多様で、行政実務上、さまざまな場面で実施されています。
行政指導に従わない場合、行政指導をするに至った事情が解消されていないと判断されると、行政機関は、行政指導に続けて、さらに行政処分をすることがあります。
行政処分を受けた場合でも、行政不服審査の申立てや取消訴訟の提起を通じて、その処分の効力を争う道が残されています。ただ、処分の効力を争うために行政不服審査の申立てや取消訴訟の提起をしても、その執行が停止されるわけではなく、一連の行政活動をストップさせることができないため、事案によっては重大な事態を招くことにもなりかねません。
そこで、行政指導を受けた時点で、行政側の意向に従うつもりがなく、行政指導自体に疑問があると考える場合にはその時点で行政指導の中止等を求める制度(行政手続法36条の2)の活用を検討することが考えられます。行政処分を受ける前に、行政指導の中止等を求めることで、自らの意向を行政側に表明し行政機関に対抗するとともに、重大な事態を回避することをも可能にします。
行政指導の違法性が認められれば、それに続くであろう行政処分を受けるおそれがなくなるというメリットがあります。また、仮に行政指導に違法性がないと判断されたとしても、手続終了後に、行政指導に従うということも可能なことから、行政側の意向に疑問がある場合には、このような制度を活用し、十分に納得したうえで行政側の意向に従うことができるというメリットもあります。
申出書作成、提出までのながれ
1.事前調査
行政指導の中止等の求めの対象は、行政指導の根拠となる規定が法律や条例に置かれているものに限定されていますので、まずは、問題となっている行政指導の根拠条文を明らかにすることが重要です。
次に、問題となっている行政指導が、法律や条例に規定する要件に適合しないこと(要件不適合性・違法性)が必要ですので、根拠条文及びその周辺を検討したうえで、行政指導の要件不適合性・違法性について検討することが重要になります。
これらの事前調査を経たうえで、行政指導の中止等を求めることに一定の合理性があると考えられる場合は、申出書を作成・提出し、問題となっている行政指導の中止につなげます。
2.申出書の作成
申出書には、①申出者の氏名・名称及び住所・居所、②行政指導の内容、③行政指導の根拠条文、④根拠条文となる法律や条例の要件、⑤要件に適合しないと考える理由、⑥その他の参考事項を記載し、行政機関に提出します。
行政書士の役割
行政書士は、さまざまな行政手続を通じて、多種多様な行政指導にふれる機会が多いことから、行政指導の性格や特徴を行政側の意向も含め理解することに長けていると考えられます。 行政指導を受けるに至った事情を踏まえ、行政側の意向を反映させた協力が具体的にどのようなものなのか、協力した場合のメリットやデメリット、協力のためには何をするのかといったことを検討することが行政書士の役割です。
検討の結果、明らかとなった協力体制に納得できない場合は、事前調査をさらに一層充実させ、行政指導の要件不適合性・違法性を明らかにする作業を実施いたします。
積極的に行政指導の中止等を求める制度を活用することで、重大な事態を招くことがないように活動することが国民の権利・利益の実現に資するという行政書士の新たな使命とも考えられます。
行政指導を受けて、今後、どのような対応をしていけばよいかお困りの方は、お気軽にお声かけください。