処分等の求めとは
法令に違反する事実があるにもかかわらず、行政機関が対応をしない場合に、法令違反事実を是正するための行政処分又は行政指導を行政機関に求めることができる制度が、処分等の求め(行政手続法36条の3)です。
このような処分等の求めは、法律上の利益を有する者のみならず、誰でも手続きをすることができるという点にメリットがあります。たとえば、①建築基準法違反の建物があるにもかかわらず、行政機関が対応をしない場合において、建築基準法上の違反是正命令をするよう求めるといったケースや②管理不全空家があるにもかかわらず、行政機関が対応しない場合において、空家特措法上の行政指導や勧告といった行政処分を求めるケースなどでは、住環境の維持に法的な利益を有する者でなくとも、誰でも処分等の求めについて申出をすることができます。
処分等の求めは、非申請型義務付け訴訟(行政事件訴訟法3条6項1号)に対応する手続を行政手続段階に導入するものとも理解されており、このことを踏まえると以下のような基本的枠組みを構築することができます。
①処分すべきことが根拠規定から明らかであること、②処分をしないことが裁量権の逸脱・濫用になると認められることの2つのケースを基本的な対象領域として(行政事件訴訟法37条の2第5項参照)、その周辺領域をも対象に、処分等の求めをすることができると考えられます。
行政手続のステージで認められている制度が処分等の求めですので、訴訟のステージで必要となる①重大な損害を生ずるおそれ、②その損害を避けるために他に適当な方法がないことといった訴訟要件は、処分等の求めでは必要のない要件と理解できます。ただ、こうした事実関係は、処分等の求めが肯定されやすい事実であり、実務的には、こうした事実の積み重ねを通じて、処分等の求めを申し出ることになると理解できます。
申出書作成、提出までのながれ
1.事前調査
申出者がどのような事実を法令違反事実と理解しているかを確認したうえで、法令違反事実を是正するための処分や行政指導の根拠条文を明らかにすることからスタートします。そのうえで、行政機関が、問題となっている法令違反事実を確認しているか、確認していないとしてなぜ確認できていないのか、確認しているとしてなぜ処分や行政指導をしないのか、その他、処分等がされるべき事実関係の有無を確認します。
これらの事前調査を経たうえで、処分等を求めることに一定の合理性があると考えられる場合は、申出書を作成・提出し、処分等がされるように活動いたします。
2.申出書の作成
申出書には、①申出者の氏名・名称及び住所・居所、②法令違反事実の内容、③処分又は行政指導の内容、④処分又は行政指導の根拠となる法令の条項、⑤処分又は行政指導がされるべきであると考える理由、⑥その他の参考事項を記載し、行政機関に提出します。
行政書士の役割
行政書士は、多くの行政手続を通じて、行政機関の対応や行政に関する法令について多くの知見を有していると考えられます。そのため、申出者が法令違反事実であると考える事実についても、問題となっている事実が法令違反に該当するものかどうか、行政機関がなぜ問題にしないのかといったことについても、一定の理解を示すことができます。
このような理解を踏まえて、申出者の依頼を通じて、さらに事前調査を実施することで処分等がされるべき事実関係を把握し、処分等の求めができる体制を整えます。行政書士は、法令違反事実、法令の解釈、行政機関の対応を事前調査する上で、日々の活動を活かすことのできる立場にある法律家ですので、処分等の求めを検討している申出者の期待にも十分に応えることができると考えられます。
法令違反事実であると考える事実に直面して、何らかの対応方法がないか検討されている方は、お声かけください。