財産管理とは

高齢になると、病気やケガで入院したり、介護が必要となり介護施設へ通所・入所したりする機会が多くなります。同時に、日常生活で今まで自分でしてきたことで、できなくなることも増えてきます。
たとえば、生活費の管理や預貯金の引出し、物件管理のための不動産業者との取引、介護契約、入院契約など、普段意識していない日常のことがらを、自分だけで実施することが難しくなり、誰かの手助けがあると助かるということが増えてきます。
そのようなときに必要なリーガルサービスが、「財産管理」です。
本人から日常生活に関することがらに関して、代理権の授与をうけ、受任者となる行政書士が本人に代わって手続きをいたします。
行政書士が日常の手続きに関わることで、安心して暮らせる毎日につながります。

任意後見契約

認知症などが原因で判断能力が不十分となり契約内容について理解ができなくなると、財産管理そのものを行政書士に依頼することが法律上できなくなります。
そのようなときに備えて、判断能力が十分あるときに、あらかじめ代理権を授与しておくことを可能にする制度が任意後見契約です。任意後見契約は、法律上、公証人により契約書が作成されなければ効力が認められない契約とされていますので、公証役場とのやりとりを通じて、契約書の作成支援をすることが行政書士の役割となります。
判断能力が十分でなくなり契約内容が理解できなくなると法定後見制度の活用がされることがあります。ところが法定後見の場合は、①自ら後見人を選ぶことができない、②本人の思いや気持ちなど意思決定が最大限に尊重されないことが多く、個人の尊厳を確保できないといった問題点が指摘されることがあります。
判断能力が十分あるうちに、自分の将来について考え、本人の意思が最大限尊重された枠組みを検討しておくことが重要です。

代理権の内容と行政書士の役割

本人に代わって受任者となる行政書士が代理権行使をして実施することは次のようなことがらです。もちろん、判断能力が十分あるうちに検討する契約になりますので、さまざまな状況を考慮して追記することも、削除することも可能です。本人の思いや気持ちにかなった契約内容に構成することが最優先の課題になります。
①財産の管理・保存・処分、②金融機関・郵便局・証券会社との取引、③定期的な収入の受領、定期的な支出・費用の支払い、④生活費の送金、税の申告・納税、生活に必要な財産の購入、⑤借地借家契約の締結・変更・解除、借地権の売買・交換、⑥相続の承認・放棄・遺産分割・遺留分侵害額請求、⑦保険・共済契約の締結、保険金の受領、⑧登記申請、住民票・戸籍・登記事項証明書・その他行政機関の発行する証明書の請求・受領、⑨郵便物の受領、⑩要介護認定の申請・認定の承認・審査請求、⑪介護契約・その他福祉サービスの利用契約、⑫福祉関係施設への入所契約・その他の福祉関係に関する措置、⑬居住用不動産の購入・新築・増改築・修繕、⑭医療契約・入院契約、⑮訪問販売・通信販売など各種取引の申込の撤回・契約の解除・契約の無効・取消しの意思表示・各種請求事務、⑯紛争処理のための裁判外の和解・仲裁契約・弁護士に対する訴訟委任、⑰新たな任意後見契約の締結、⑱復代理人の選任・事務代行者の指定、⑲配偶者・子の法定後見の申立て
財産管理の際に必要な委任契約の代理権の内容と任意後見契約の代理権内容に異なるところはなく、同一の代理権目録で作成します。
財産管理の時点では本人の判断能力が十分あることが建前ですので、受任者である行政書士は、本人の指示や監督のもと財産管理を実施することになります。任意後見契約が発効した段階では、本人の判断能力が十分でないことが建前ですので、受任者である行政書士は、家庭裁判所により選任された任意後見監督人の監督のもと、タイムリーな財産管理を実施することになります。
ですので、判断能力が不十分になったときのことを考え、自らの考えや意見、どのように財産管理をしてもらいたいかということを、あらかじめ受任者となる行政書士に伝えておくことが重要なポイントになります。
弊所では、お客様からのご要望に応じて多くのことをヒアリングしたうえで、「安心して暮らせる毎日」を実現できるよう、ニーズにかなった仕組みづくりを心がけております。
将来の財産管理に少しでも不安がある方は、お気軽にお声かけください。
(報酬)
任意後見契約書(移行型)の作成
5万円(税込55,000円)
見守り契約
5,000円/月(税込5,500円/月)
委任契約による代理業務
1万円/回(税込11,000円)
任意後見人業務
1万5,000円/月(税込16,500円/月)
※委任契約による代理業務に関する報酬は、手続負担が大きいときに発生する報酬で、通常は見守り契約の範囲内で業務を実施いたします。
※任意後見契約は、公正証書にて契約書を作成する必要がありますので、ほかに公正証書作成費用が計上されます。
※任意後見業務に関する報酬は、判断能力が不十分となり任意後見契約が発効したのちに計上される報酬になります。ほかに、任意後見監督人への報酬が計上されます。